「悪魔の誘惑」をテーマに禅僧がコプト修道僧を訪ねる作品を作ったことがある。 仏教の原点は、釈尊が様々な煩悩との戦いを制し、最後に悪魔との戦いを制して悟りを開いた「降魔成道」にある。 禅宗では釈尊の成道に因み、陰暦12月1日から8日の朝まで昼夜寝ずに座禅する「臘八接心」を行っている。 洗礼者ヨハネから洗礼を受けたイエスは荒野に向い、40日40夜の祈りと断食を経て悪魔の誘惑を退けてキリストとしての歩み

砂漠(荒野)は悪魔が住むという。 砂漠で半年ほど過ごした時、それがお伽噺ではなく本当であることが理解できた。 何もない砂漠にいると心の内の思いに支配される。 食欲、物欲、性欲・・。 思いは形となって襲い掛かって来る。

ロシアでのクランクイン初日では、撮影カメラに白い皿を叩きつけて割り、破片をスタッフ達が夫々持ち帰るというセレモニーがある。 撮影が滞りなく安全に行われることと、クランクアップ時に破片を持ち寄って一人も落伍しない願いを込めたものだという。 未だ共産党支配のソビエト連邦時代で、クレムリンには赤旗が掲げられていた頃なので妙に感心した。 唯物論に支配された社会であっても人の心は変わらないものなんだな・・。

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